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2015年10月 5日 (月)

『南国の夢を見る熊』  

 虐げられた……後の一服は旨い

そう、サウスストーム……の酒場『バロン』で、
天井を蠢く紫煙をみながら
大沢亨はおもった
「あんた これでも吸いなよ」
と手渡された

一本の葉っぱのたば

においは米を作る畑の乾いたにおい
いかついまるで図鑑のゴリラを連想させる
口にほうばるとスーっとした刺す
背中に冷たい物が垂れる
というか、背中が肉体で無い感覚をさせる
それから、感動に似た
煙草のクールを何十本も吸った様な
頭をパーっと明るく照らす
そして目に刺さる様な
球場のライトといえばいいか
光 色が飛び込んでくる
特に ミドリ 黄色が光をスッポットライト
を当てた点を集め更に濃くした様な
鮮やかさを発した
赤は白や黄色に点滅する様に……  
ボードレールが『美しい 天国のガラスは
無いのか ああ 綺麗な硝子 綺麗な硝子』
と怒鳴ったのもうなずける
足をばたつかせたくなる
遠くの景色が陽炎の様にゆらゆらしはじめ
頭のなかで
『まわせ まわせ (ぶっ飛ばそう)
やぁぁぁすぃぃぃ さけ 飲む程
俺は お・ち・た・の・か
この一服
さいこおおおう』
と聞こえる
ふらりと入った酒場
でこんな歌を聞きながら我に返った

ト・ラン・ペットが・響くよ『ブ・ロロロロ』こ・ん・な所には『タン・タララララ』
こんな・所・には・もういられない……

と……酒場の歌手の歌声が聞こえる
『俺は、何故こんな目に遭わなければいけないのか……』
そうゆっくりと
怒りと気が狂いそうな程の
頭の……クラクラする空気を振りほどきながら……そう例えるならば…
積み上げられたブロックではなく
崩れちらばったレンガの様な
大沢は氷ついた思考を動かせる……

宇宙世紀0040年
酒場バロンは 酒場特有の……
ならず者の物笑い……や金と薬のやり取り
博徒の気前のいい賭博の声は聞こえない
あるのは……既に生きる意欲を失った
人生の脱落者が吐きだす溜め息
そして、なけなしの自分すらも
踏み付けにされた……
者の吐きだす怨念……あきらめ……
自分達の大地を追い出された
先住民も見せないであろう
陰鬱な影を落とした横顔……
そして……
若き死への誘惑……
それら、澱んだ空気のみ……が
支配……する……
街のアウトサイダー達や
この街に生まれた者ならば
必ずこういうだろう
「そうっとしておいてやれ」
と近寄らない特殊な……場所……        

「大沢のアニキじゃないすか
豚箱からでてきたんすね」
そう……古い友が声を掛けた
意外な人間との邂逅……
少々と惑いの色を隠せない……
のが普通だが……
「お前は……『騙し屋』のフーか奇遇だな
 こんな所で……どうした」
今の大沢には物怖じをする程の
精神的な余裕は無い
「恋人に……へっ…俺が悪いんすけどね」
「そうか……
ところで
今の俺をどう思う」
草の先端から、立ち上ぼる煙……
深い灰色が水に絵の具を落とすように
広がり色を失い空気と同化する
「あの仕事を失敗して指切りにならなかった
だけでめっけもんじゃねえかって……ね
札付きなんざたいしたことねえすよ」
「だがなくしたものが多すぎる」
「なくしたんなら……作ればいい」
一人……低い声が割り込む
「……誰だ」
大沢の目に一人の男が映る
灰色のコート
灰色のハンチング・キャップ
「君に話がある……済まぬが『騙し屋』君
君には……向こうにいって貰おう」
……彼の目にはこの……
大沢という人間をどのように映すのか……
「ラム・バーモンを一本
俺はあんたが前に居た……
サウス・レットロウの
『影の軍隊』の一人さ……
そしてあんたに惚れ込んだ男だ」
「俺は……昔の事は執着しない質でな
賞金稼ぎを雇うなら
俺をほって……探したほうがいいぜ……」
大沢は男にヤニ混じりの唾と掃き捨てると
せせら笑う様にそう言った
「『南国の夢を見る熊』が動きだしたのを
知っているか」
「……!」
「『S/T/P/O/28』もだ
奴等の裏にはシャープマーダーが付いてやがる
サウスストームの街は穴が空いた」
驚愕と戦慄そして……大沢の目に
光が宿る
「シャープマーダーだと……?
奴が息を……
吹き返したのか
今度は
誰がシャープマーダーを継いだんだ」
跳ねる様なピアノが店の中を響く
「そこは……よく理解からんが
あんたしか奴を倒せない
皆そう言う
食らい付いたら
闇に葬り去るまで戦うあんただ
このサウス・ストームの街に開いた
穴を埋めてほしい」
男はラムバーモンを口につける
「………そうか 奴等……
『南国の夢を見る熊』……
『S/T/P/O……
面白い……
お前……
奴を倒す為に手を貸してくれる
んだな」
「無論……おなじ……商売の者同士
この世界は一人倒れたら……皆で
手を出し助けてやる……
それが常識だ……
あんたを……
この酒場で死なせる……には……
いかない」
酒場の重い扉が開く
冷たい冷気が店内を駆け巡る
一人の賞金稼ぎが戦場へと赴く
片手に銃
心にトランペットを響かせながら

2 
ビート・ストリート
サウス・ストームのドル箱
アナログからデジタルの奏でるシンフォニーまで
世界各国のありとあらゆる
レコ屋……楽器……クラブ……そして……
バンドやDJたちが集まる
ある者は心を癒す為……
ある者は楽器を奏で
音楽という羽毛で包み込む為
やさしさ
そんな思いが具象化した街
そこの一つのクラブ『ヒップポケット』で
あるラップ・グループが客を沸かせていた
「YOチェックリサーチ
DJランカスター・オン・ザ・セット
MCハードコア・イン・ナ・ハウス・ショー
イエエ」
マイクマスターの掛け声と共に
一人の男がマイクを片手にステージを上がる
強化防護服に身を包み……
回りには4・5人の男達
DJの肥えたビートが指先から迸る
「ヘーイ ヨウ キング・レペゼン・ナ・ハウスショー
盛り上がってるか・盛り上がっている奴は声だせよ
SEY/HOO」
「皆さん手を上げていきましょう」
「手えあげろ! 手えあげろ!」
「オラオラ安い酒のんで
酔ってんじゃねえぞ……いくぜ
イエエ『ははは いいぞー』
 まずは見せます俺の手の内
チャカMC達がにげだすよな手口」
回りを囲う男達が拳を
歌う……一人の男に飛ばす
がダックでかわすと蹴りをお返しにぶつけた
男がふっ飛ばされる
「くらわす正に一撃必殺
軽い会釈で始める挨拶」
軽い会釈をすると回りを囲う
奴を一人ずつ丁寧に掴み掛かる
「てめえらがいつも破る法律も!
くそみてえなワイロ好きなポリ公も!
俺を 誰にも止められない
やめられない
ヤンチャなお前らがいるからさ
マザー ファッカー
ぶちかまそう 『壁に書かれた文字の様に』
やっちまおう
俺らは無敵のアウトサイダー」
回りを囲う男がいなくなると
大歓声が上がる
「男気 見せてやるぜ
文句ある奴は土俵にあがれ」
二、三人の男がステージに上がる
一人は黒眼鏡……気質では無いのが分かる
「おらみておけ」
黒眼鏡を男の顔から掴むと
地面に投げつけ……踏みつぶした
その後……
彼は無傷でステージをおりた

クラブのVIP・ルーム
大沢とハンチングキャプの男は
例の男を待っていた 
「……」
「……デモテープですか?」 
大沢は男を上から下までゆっくりと眺めた
声の気迫 いわば言霊がこの男を作ったのではないだろうかと思わせる
鋭い…そんな感じのする男だと
大沢は感じた  
「いや……そうではない……
俺を忘れたとはいわせねえぞ
MCハードコア
昔の名前で呼ぼうかマイクファイター……
本名 布令・武
俺だよ……昔……
お前の世話をしてやった
マスターフォーだ」
「……マスターフォー……
マっさん
……久し振りです
その後どうですか……
あ……このあと遊びに行きませんか」
「うむいいな」
マスターフォーの口許がほころぶ
「あ……俺そこそこ収入も増えてきたんで
ちょっと高めの店にも顔をだせるんですよ
どうですか……
へへへ……
マっさん好みの
若い娘そろってるんですよ」 
「ふふふ 嬉しいなお前も俺と対等に……」
「おっおい」
と大沢が肘でマスターフォーを制す
「あっ……と
君の好意は嬉しいが
一つ聞いてほしい事がある
実は……」
最初は笑顔のラッパーだが
話を聞くうちに顔色が変わる
「はあ?…『南国を夢見る熊』をつぶす?
……から手を貸してほしい……
じょ……冗談でしょう」
「いや……俺は本気だ」
「そりゃあ……奴等をよく思わない
奴も多いし…俺もその一人ですがね……」
ドガァ
サバイバル・ナイフがテーブルの上につきささる
つきささったナイフの先……握り締める
ナイフの柄
DJランカスターの怒りの目が大沢達を向く
「バカヤロウ……テメエら
俺の相棒を……
あの頃に戻そうっていうのか……」
「おっ……おい……」
「こいつは
ラッパーという 
今の業で満足しているんだ
こいつの歌で幾人の人間が
心を癒されたか……
それに……」
「……分かった……言うな……
……俺が悪かった……
いい友達を持ったな」
マスターフォーが立ち上がった

ビートストリートの喫茶店『ハードロック』
DJランカスターは煙草に火をつけると
ケムリを飲みこみ
吐いた
「俺は……マスターフォー
奴のことは知っている……」
DJランカスターが睨む
「俺の相棒の世話をした事もな
だが恩を返すつもりならよした方がいい
そう……だろ」
MCハードコアはちょっと思案すると
言葉を返答す
「それは分かっている……
お前が言う事は確かに正しい
だがな……俺はあの時……アマチャンだった
そしてな ここに来て自分を磨く為
日々精進してきたんだ
今 それの成果が分かる時が来た
んじゃないかってね
だって そうだろ今日の俺の
ライブを見ただろ
あんなマイクファイトを繰り出せる
のは……俺だけしかいない
成長した俺を見て貰っても……ましてや
マスターフォーの助けになるなら…
なおさらね
こんな事……言うのはさ……俺
本当は嬉しいんだ本当に尊敬できる
人に久し振りに会えて……」
DJランカスターは天井を見上げる
ともう一度相棒の目を見た
「そうか……無理に引き止められたんじゃないのか……
そうか……
好きにしろ……」
「ん……お前いいのか……」
「ああお前の考え確かに分かるぜ
それに俺のよく知っている
お前の性格だ……止めてもいく……だろ
だが……これだけは忘れるなよ
背負っている物……の事を 
ここにお前がいる
そして……お前を必要としている人間がいる
なにも俺だけじゃない
お前はビートストリートの看板の一人だ……
生きて帰ってこいよ」
「ああ それは保証する……」
闇の中に消えていく友を眺め
DJランカスターは溜め息をついた
「ばかなやつだ……ふふふ
だが……それもいい……かも……な」
口に一口コーヒー注ぐと
時計を見た
まだ夜は始まったばかり……


シャープマーダー

暗い闇に包まれたビルの谷間
猫が路地裏に逃げ込む
それは幾人かの男がガヤガヤと
通って行った為か
それともネオンの光が眩しい為か……
カジノ『フルハウス』
その名の通り
ありとあらゆる娯楽がある
ポーカー……バカラ……
スロット……例えて言うならば
王の殿堂
そこに一人の男が回る
絵柄を横目にタバコを置いた……
「ふん でねえな」
男の名はファンリル
南国を夢見る熊のメンバーの一人だ
『どうもいらっしゃいませ
わてがこのカジノを案内をさせていただきます……AKINNDO23でございます
どもよろしゅうにさて当カジノに……』
とAI(人口頭脳) の声が聞こえると一人の男が
ファンリルの横に立った
「おい……こんな所で油売って……」
『あのお客はんけんかごとは外で……』
「ええ……ああ いま大事な事しゃべってんだプログラムは黙ってろ」
一人の男……
目付き……鋭く
 心に刃……を秘めた……その男
そんな彼だから出せるドスの利いた
声を上げた
『お客はん 入場料……を』
「うるせえ だまらねえとミカジメ料を上げるぞ」
とマイクに怒鳴りつける
『ミ……ミカジメ料…
カチャ…これは我が部下が失礼を
私は当カジノの支配人を勤めさせていただきますMAS44です
えー裏ロムの場所ですが……』 
「うるさいといってるのが分からんのか」
銃口がAIを貫く
「シャー……シャープ
テメエ……どうしてここを 」
スロットの前の男の顔に
驚愕の色が混じる
「ファンリル……どうした
ええ……テメエの持ち場は
マリファナとアンフェタミンを売りさばく
手下どもをまとめるんじゃなかった
のか」
「……」
「俺がルールを作るって事を忘れた訳じゃ
ねえだろう」
コッコとスロットの止まった
絵柄を指先で叩く
「ああ…… 」
おじけづくファンリル
「けっ 度胸もねえ
これだからつかえねえ……」
上目づかいで小馬鹿にするように
ファンリルをたしなめる
「………いってくれるじゃねえか……」
「なんだよ」
「俺は薬を売る為にあんたの下にいる
訳じゃねえんだ
そこんとこ分かってるか……」
鋭い剣幕がシャープマーダーを襲う
どうでるのか……
「ふん……確かにおめえは戦力になる
『南国を夢見る熊』のNO1の腕だと
俺が太鼓判を押してやらあ
だがな……それも今となっちゃ
昔の話……デザートアサシンとシャドーガンナーそれから『HOT・K・N・A』の野郎どもがいなくなった 今 
手出ししてくる輩がいねえ
わかるだろ?ドンパチやるのは『S/T/OP28』の奴等に任せりゃいいんだよ」
ファンリルはシャープマーダーを哀れむような目で見るとあきらめた様に呟いた
「あんた変わったな……
権力……が人を変えたのか……」
「ふん……いいか
明日までに金をもってこい」
「………」
シャープマーダーがその場を立ち去ると
7番目のスロットが止まった
不揃いの絵柄……
「ルールは俺が作るか……」
ファンリルはシャープマーダーの台詞
を鸚鵡返しに言うと……自分ののこった
箱の中にある
のコインを見た…数はそう多くない……
「何をいらだっているんだ……俺らしくもない……」
そう……言うとファンリルは残ったコインをスロットに入れ
レバーを引いた……
絵柄が……回りだした……
なにかを暗示するように……


















メカニック・デザイナー

車がイーストストームの高速道路を抜ける
時は2時を回る頃だろうか
「どこに行くんだ……」
大沢はマスターフォーの顔をのぞきこんだ
「ジャンク屋に行く」
「ジャンク屋……?
なんでですか……」
MCハードコアがマスターフォーに聞くと
言葉を返す
「ああ……用意は周到に……と思ってな」
大電気街……バルバロッサ
アクセット通りに面したその場所を抜けると
一つの巨大な露店市に出る
「ここだ……この奥に俺の馴染みの店がある……ついてこい」
そこ……落ちぶれたメカニックデザイナーや
旧時代の機械から見た事もないような
銃機まで……露店の店先に置かれている
電気溶接の光、ステンレス版を切る音
曲げる音
マスターフォーは少し歩くと面白いものを見つけた………
「これは」
「どうしたんです」
MCハードコアがマスターフォーにといただす
「兵器には一種、緊張感が
置物には楽しむ為には愛想が必要だと
昔ある技術者が言った…………
久し振りだな マスターフォー どうだい 
きにったかい」
と低い声がマスターフォーに向けられる
「あなたは」
と大沢が聞く
「あ……おれかい……このジャンク屋『ルーンナイト』の店主……だ」
「これは……いいな」
「気にいったかい
これは俺の自信作だよ」
目の前に置かれた強化防護服を見た
「もちろん無料さ
でよ ここ……が苦労したんだぜ 」
「あ……説明は後で聴こう
シャープ・マーダーをこれで倒せるんだろうな」
「もちろん こいつには奴の攻撃に対する
全てのパターンをいれたんだぜ」
「ふ…… おもしれえ」
「しかしいいんですか三人分も
無料で………」
マイクファイターが聞く
「俺らは『南国の夢を見る熊』
の野郎のおかげで脅されて
安く買いたたかれる
んだ
ここの 技術者は皆
奴らがだいっきらいなんだ
これは俺だけじゃない
ここの 全ての技術者からの贈り者だと思ってくれ 」
「すまねえ」
「いいってことよ、な 俺ら友達だろ」
「あ……ああ そうだよ」









  終焉

ここはストームの最前線
抗争の最後の地
ここを破ればストームの犯罪組織は
全て『南国の夢を見る熊』に吸収される
このまま……彼に最強の名を預けたままなのか
「シャープ・マーダー 
ここがテメエの死に場所だ」
銃剣に寄る一撃
かわす
「ふん あまいな
その程度の攻撃」
構える銃
軽い特殊な材質で作られた 
銃は一振りさせるのも速い
「うぐああ」
突然相手が倒れた
なにがおこったのか……触らずして相手を倒す技とは?
彼を最強の名を冠している
のは
銃器……組織……スキル……それ以外の奥の手があるようだ
「この程度か
もっと骨のある奴はいないのか」
「その言葉……俺がかなえてやる」
一人の鋼色の強化防護服をみにまとった
男が現れる
「……貴様は 大田
馬鹿な 貴様は……」
「いい事を教えてやろう……
テメエの組織は壊滅した……」
「けっ なにいってやがる
……なに!」
シャープマーダーに一撃が襲う
よける……構える
「……これでもくらいな」
シャープ・マーダーのボディが光りに包まれた
眩しい、いや電光石火と言う方が正しい
この光を測定すれば測定器の針が
最大まで動きぶっこわれるであろう  
何千ワットの光先程の切り込んだエージェントはこの光
に目をやられたのだろう
シャープ・マーダーは太田が倒れる姿を
頭の中で思い描き
悦楽に浸る
だが
「ぐおおお」
倒れたのはシャープ・マーダーの方
何故?
「ふん……小細工にたより過ぎたのが
テメエの敗因さ」

そう言い残すと
太田はそのばを離れた
シャープマーダーは断末魔の叫びを上げる
「いい気になるな 大沢……
俺が死んだところで
てめえなんざ俺の手下にやられるのが……おおおおちいいだああ ファ……ファンリル
て……てめえに華をもたせてやるぜ……」

そのの頃 カジノ『フルハウス』では
異例の大洪水が起こっていた
「AKINNDO23 これはいったい……いったいなにがおこったんだ」
マスターホストコンピューターのMAS44が声にならない悲鳴を上げる
「し……支配人……わかりまへん 
わてはなんにもしりまへん……
ただわては首やねえ……」
スロットがいかれたのかそれとも
なんらのバグだろうか 
シャープマーダーの組織『南国を夢見る熊』の資金源……であるスロットマシーンの口から 膨大なコインが流れ始めていた
狂喜となって コインを集める客
ガッチャンと音をたて
封鎖される引替え口
この日の彼等の損害は膨大かつ取り返しのつかないものとなった
金を失った組織に強力な力はない
「は……破産だ……」
次に組織のヘッドとなるファンリルが
マスターホストコンピューターの弾き出した被害総額を見て目を剥く
彼等を統べる物 金
彼等を統べる者 強力なリーダー
二つを失った『南国を夢見る熊』
は解散を余儀なくされるのであった
シープマーダーの渡した華……
それは徒花となってファンリルの目の前で
寂しく はかなく散っていった……















酒場『バロン』のカウンター 
3人の男がジョッキにビールをついで
祝杯を上げている
「しかし なんで目が潰れなかったん
ですか」
とMCハードコアが聞く
大田が口を開く
「ああ それはな この強化防護服は……」
「おっと 俺が説明してやるよ」
とルーンナイトの店主
「この部分だよ これは作るのが大変だった
目の部分は実はサングラスに切り替わる様にできているんだけどね……
ふつうに切り換えてたら
あれだ 間に合わなくなるだろ
何時 光が襲ってくるか
わかんねえもんな
だけどよ、これには太陽電池が埋め込まれているんだ」
「あっ……そうか」
「そう 自動的に切り替わるんだな
これが
光を反応して」
「考えたもんですね
ところで
マスターフォー遅いですねえ」
「いいじゃねえか 飲もうぜ」
「そうですね」
マスターフォーは最後までこなかった……

まさか
マスターフォーを巡り
このストームに新たな戦いの火蓋がきられるとは祝杯を上げる
太田には……
知るよしもなかった……




後書き
さあ、シャープマーダーが帰ってきた
トロピカルドリーミングベアの第三部作
いかかがであろうか
今回の作品で苦労した部分
冒頭の大麻の喫煙体験を書く事だった
大麻……マリファナ・ハシュシュ・ハッパと
名を変え、洋の東西を問わず、ボードレール
イナガキタルホ、ツツイヤスタカ、シド・ビシャス、シド・ドレット、ローリングストーンズ、大槻ケンヂ
など文豪、ロックミュージシャン等を魅了した
麻薬
このマリファナの甘い優越を書くというのは
モノカキの避けて通れぬ、登竜の門、筆記試験なのだ
描写は、筒井康隆『俗物辞典』中島らも『アニマタ・パンセリナ』ボードレール『悪の華』イナガキタルホ、『GON!!』等を参考にさせていただいた
大変だが 書きごたえのあった
なかなか、面白い経験を詰めて満足である
次の作品発表は無理かもしれないが
まあ ゆっくりとやってみたいと思う

ブッタ・ブランド『DONNT・TEST・MASTER』を聞きながら
2000年 4月 28日 机上

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