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2015年10月 5日 (月)

 黄色くさびた三日月……
闇に浮かぶ……
神の道化が描いた……その球体は……
人々の思いをはせる……
その光は喧騒を捨てた……都市を深い眠りへといざなう………

 月光は建物を冷たい石、そう……トパーズやルビーの様な宝石に加工する……
それは青白く、見る者に静かな幻想を抱かせる……
 冬の風は、騒がしくもなく・・
かつ心地好いわけでもなく……
静寂に身を置くものたちの胃を締め付け……彼らの心を騒がせる……それはやがて……
大気に眠る精霊の幻想に変わり、彼らと我らの脳裏に触れる

 それは、遠くにある様でいて手を伸ばせば
掴めるような……
そんな国の情景が、目を横切る……
今、私の描いた幻想を語ろう……
夜が明ける前に……















 1 白い鳩

 その夜、女王は手の書類を見ながら当惑の色を隠しきれないでいた。

 その夜、バルバロッサ連合国は、従仕国カタールと隣国、巨大集権国家ラクロスとの戦を終え(後に、この戦いはクリミア湿地で行われたため{『クリミア戦線』の戦い}と呼ばれる、ちなみに戦争が行われた原因は国境を隔てた村と村のケンカが発展した物とと後の歴史家は見ている)戦に疲れた、両国家間のエグゼクティブクラス・キャプテン(指揮官)のゼネラル(将軍)ミドルクラス・キャプテン(前線指揮官)のナイツリーダー(騎士団長)そして、限られた ボーンリーダー(歩兵指揮官)を交えての敗戦処理の会議を行っていた。
「…なるほど、しかし、この一介の小隊長ごときに、300名の捕虜の交換とは……
何か、腑に落ちないものがありますね… 前例はあったのですか?」
と将軍達に問いをかける。
「いえ、ありません女王閣下」
将軍達よりも早く、女王の傍らに控える兵士が叫ぶ、窓から外の闇を裂いて、その声が低く響く。
「…そうですか」
「閣下、それは……何かの手違いでは?」
となめし革であしらえた鎧を着たに黒い長髪の男…美丈夫で、男もうっとりするような……ロマンスで言えば女に都合のいい男……と皮肉のひとつも言いたくなる……
カタールより派遣された、レインジャー(野伏)部隊の隊長兼カタール軍総指揮官リードが立上がりそう女王に伝える。
「……そのように考えるのが正しいのではないかと…」
「いや我が軍のなにか……そう弱点でも握っているやもしれぬ」
とバルバロッサの王が喋る
「しかし王……それでは敵の捕虜になった上層部と同じ事」
ややあって……場が騒がししくなる
「閣下……もしお悩みでしたら、私に良い案が…」
騒がしい大気を裂き、甲高い声……
そして……不敵な笑いを浮かべた、銀髪の女がつぶやく…ものごしや黒一色に統一された軍服から察するに…軍人でない事が理解る……。
「……お主は…」
「おや、女王ともあろうお方がこのバルバロッサの誇る、諜報部を知らないとは」
女は薄笑いを浮かべるとフッと笑うように息をはいた、仮面を被った様なその顔は、喜怒哀楽の表情をだすのを許さない様だ。
「閣下の御前………言葉を慎め!」
とリードがカツをいれる。 
「カタールの人間がタメ口きくんじゃないよ、出直してきな……」
「まて…もめごとは後だ、閣下、この者の意見を聞いてみるのはいかがかと」
と将軍の一人クトオ・ゾフが女王に告げる。
「そうだな…お主の案とやら聞かせてもらおうか」
女は立ち上がったまま、横を向き、囁くように言葉を告げる・・・
「さすがは女王様、しかし………この中に間者(スパイ)がいるともかぎりません……今、私が意見を述べるのは、あまりにも短楽的すぎるかと」
「疑り深い奴だな…理解った、将軍以外の者には、席を外してもらおうか」
と近習の者に告げた。

 軍靴の音が騒がしく・・・やがて、部屋の空気が凍りついたように張りつめる・・・
「では……あらためて、聞かせてもろおうか…おぬしの言い分とやらを」
「はい…実はラクロスに十数名の間者をすでに潜伏させております」
女は落ち着きながら言葉を告げる
「間者とな!」
女王の顔に驚嘆の色が交じる。
「いかにも、どれも腕の立つ者ばかり、暗殺も不可能ではありません…見極めが肝心ですが」
「……そうか……理解った、この件、貴公に任せよう・・・」
「有り難うございます」
「朗報を期待しているぞ!」
「ハッ!」

 蝋燭の光が明々と………女の彫りの浅い、まるで仮面を被った様な顔を照らしだす……そこに一人の男が女と話をしている………男の名はハスナー、 将軍所属の騎士団の隊長(キャプテン)である
「作戦は成功か……うらやましいな」
「ええ……女王の所属の部隊となれば……この諜報部の少ない予算も増える……少しは部下達に楽をさせられる………」
「………部下思いだな………貴様らしくもない」
含み笑いで皮肉をいう……
「将軍所属下に置かれた部隊が膨らみ過ぎた………そのおかげで …ただでさえ目立たない諜報部の予算は雀の涙程…今まで何度塩酸を舐めた事か…
それ以上に、部下以外に誰も私の仕事を認めてくれないという事からの離脱これは正直嬉しい何か生きがいという物を感じるな……今まで私は仕事の意義を見出だせないでいた」
「……それは俺とて同じだ………結果を出せばすこしは格が上がる…そして仕事も生きがいと感じるだろう…だが焦るなよ俺は功を得ようとして………死んで逝った部下を知っている」
「……忠告ありがと……けど…仕事……するから黙ってて………」
「………わかったでは明日」
アルゴは部屋を出ると自分の部屋を目指し歩きだした
「ん………なんだこの殺気は」
足音を立てないで動く影………擦れ違う男……戸を開ける……この間30秒
「これでよし」
と女は紙に暗号を記すると鳩の足に付けた 
「………後は飛ばすだけだね………貴様は!」
女の体に影が迫り……覆う
「くっ………」
ダガーが女の胸に付き刺さる 
野生の勘か身の危険を感じた鳩が驚き窓を出る
「しまった…発ったか…ええい」
懐から弓を取り出す、後ろでは睨みつけたまま胸を押さえた女が倒れる
「………今度から鳩ではなくカラスに、するんだな………」
ハスナーが戸を蹴りやぶり入ってきた
「イーグル!……貴様……生かしておくかものか」
「………なにっ」
一瞬の動揺……狙い定まらず……弓を放つ……そして
ハスナーのソードが男の肩を切る
「………クソッ……はずれた!」
鳩に向かって、射ぬかれた矢は軌道をそこない落ちてゆく
冷たい夜風は鳩を包む……鳩はそれから逃れようと西へ行く……
ラクロスへと………










演説

「見るがいい、この者達を我々がかって騎士の精神を持つ者と信じ畏敬を抱いた者の正体である……彼らはこのような邪悪な意思を持つ者を国に潜伏させた……これは戦争の為かまた、先の戦で彼らは我々に負けたこれは両国の国力の差か………否…これは彼らに騎士たり得る精神が無い為である……我々は何時の世にも騎士たる精神を持ち戦いを続けた……それにより戦いに勝ってきたのである……戦いの精神は騎士の魂に宿る……… それは諸君らの知ってのとおりだ…そして私のその精神の忠実なしもべである………だからあえて言おう…我々は立たねば成らない……バルバロッサの騎士なき戦争という暴挙に対して……立たねば成らないのだ………そして我々の騎士たり得る精神をバルバロッサの大地に根差す意味でも………今……我らは勝利を確信した……それは何故か、騎士の精神無き彼らに勝利は無いからである」フォン・コルゼット将軍
「彼らが、悪を正義と呼ぶのなら、わたしは悪になりましょう…そしてそれを貫き通すまでです」
この宣言が行われた直後、ラクロスは魔界と化す
そして、フォン・コルゼット将軍は異形の者にその命を奪われる………



















     

   2 逃亡と餞別

 俺はラクロスのスラム街に流れ付いた……その訳を話そう………

その日俺の兵舎の窓に一匹の鳩が止まっていた……俺は鳩の足に付いた暗号を読んだ………
『指令 現在ラクロスに身柄を拘束されているカノン小隊長を監視せよ 場合によっては暗殺も可』
俺はいつもの様に紙切れを蝋燭の火で燃やした
ドン ドン
「………」
「エルハント、俺だ……ヤヌスだよ開けてくれ」
「開いているぞ 」
ヤヌスは同じ兵舎の兵士で新兵の頃からの仲だ見た目は平凡だが以外と思慮深く相談相手にもなってくれる……お互い出会った時から何かがピンと来たらしくモチツモタレツ助けたり助け合ったり部下の前では戦友と呼び合っている
「よう 何か知らないが兵士が集まるらしい…完装で朝の第4の笛、迄にだそうだ」
完装は完全装備、最低でもソード二本、マント、ヘルメットを着用する、事第4の笛とはトレーナー(教官)の吹く笛(ラクロスではラッパよりも笛を重く見る、これは教官の数が多いためであり、ラッパ専門の兵を作るよりも欠員がでたとき、誰でも簡単に扱える笛の方が合理的と見るのためである、また昔ラッパ手が死んだため非常時に対応できなくなり部隊が全滅した例も歴史研究家の調べで見つかっている)の音で、10時頃を指す
「ん……理解った……ところでヤヌス」
「ん…なんだ………」
「カノンって知っているか」
「あー そうか お前の所にスカウトの命令がきたんだな」    
「?……スカウト」
「でも……すごいよな、たった一人で敵陣を……いや、我が軍の包囲網を、突破するなんて、俺なんてあの時、お前の援軍が来なかったら全滅してただろうしな」
「……ふむ」
「俺はかわいいと思うぞ」
「そうか」 
かわいい……か、女……らしいな

ピリピリピリと第2の笛がなった
「おい、そろそろ行った方がいいかもしれないな……」
「うむ」
俺とヤヌスは走った 

 「それがしは、山羊座騎士団第78騎馬隊所属伍長ヤヌス=ワルサーであります」
「おなじく、獅子座重騎士団第33部隊伍長エハルント=ティーゲルであります」
「今日は人が多いいちいち点呼・照合・確認を取る程暇では無いのださっさと行け」
教官がそう早口で告げる
「ハッ」       
広場……軍事演習場、石畳で約2万人を収容できるそこには幾人かの軍人達がグループを作っていた
「………教官の言っていた通り多いな……」
その中で一際目立つ馬を連れた一団……鎧には様々な装飾がしてあり、紋章を持たぬ者はいない、つまり貴族の連中か、士官学校の出の奴等………
「おっ山羊座騎馬隊の突撃部隊がいるな……いいなあいつら、ちゃらちゃらしてブルジュワ気取りのなは、きにくわないけど……俺みたいに騎馬隊とは名ばかりのただの歩兵とは違ってちゃんと自分専用の軍馬を持っていて」
「………うらやましいか」
「ああ……だが現実は厳しいさ……やつらは捨て駒だ『一番槍は私がいただく』とか言って最初に攻撃を仕掛けるが……散って逝く者が多い……あいつらが騎士という権威を振り上げ楽観的になるのは………」
「……しかたがない事だと………」
「ああ……ノブレス・オベレージ(貴族の持つ責任感)は必要さ、奴等が道化を演じるから民衆は国に軍に騎士に尊敬をする……
……だが俺は必要悪という考えは嫌いだがな…」
「……」

 広場の中央にある。教官が講演を行う台からピリピリと笛が鳴った……
「アサルト教官に敬礼!」
「………始まったみたいだな」
「あー諸君、君達に………だから…我が部隊は………この中で矢傷を負った者はいるか……」
「ふああ、何か話が長いな」
「して………君、森において最も有効な武器とはなんだ」
教官の意地悪な目があくびをした、ヤヌスの方を向く質問に答えられなければ地獄…いや言い過ぎた絶望のうで立てふせ100回がまっている。
「えーと………」
「(ヒソヒソ)弓じゃないのか」
俺はそう小声で言った…… 
「あー 弓ではないかと……」
「うむよろしい……ではなぜだ」
「………補給が簡単だから?…」
「うむ………その通りだ、矢の材料は森の木の枝を使う、また剣による攻撃に対して距離をおいて戦う事が出来る、つまり古来よりバルバロッサはカタールと………」
ヤヌスはこっちを向きこう言った
「ありがとうな」

   餞別

 夜の闇は人の心をその漆黒の空間に誘い夢という幻想の中に葬り去る
その夜、俺は武器や防具の点検、整備を行うとベットに横になっていた
虫の声を聞きながら虚空を見つめていると
ドタドタと騒がしく軍靴の音が………
「お…おい 起きろ」
「ん……なんだ」
「ああ……お前がスパイと言う事が理解ったらしい」
「……!そうか」 
「早く逃げろそれからこれは俺からの餞別だ」
そういうとヤヌスは丸い木の円盤を投げてよこした
「……これは?」
「ナイフ10本とそれを入れるケース、防犯用に首にぶら下げるようにできている……市街地に入ったらバザール(泥棒市)に行って売れ……少なくとも一週間は食っていける」「いいのか……俺の首を取れば、二階級特進ものだ……」
「………貴様にあう前まではな……いや、いいさっさと逃げろ」
「すまない」
そういうと俺は窓を飛び出した

  逃亡

 走る俺の視界に庭園が広がる
『ニンフの園』夏になるとはじけるような美しいヒマワリが咲く……柄じゃないが俺も見とれたものだ………
「駆逐隊出撃遅れるなよ」
虫が跳ね、飛ぶ、逃げる
「向こうだ、早くしろ……急げ」
闇の向こうでどたどたと俺を追跡する奴等の声と追走の足音が聞こえる
三人の男がヒマワリの葉を吹き飛ばし駆け抜ける
そのひとりが俺の顔を見るなり猛禽の相を失った 
「貴様はエル……世も末だ、貴様ほどの度胸のある男が」
俺は二本……ナイフを投げた
「むう」
暗闇……手から落ちるランプ
「シエル隊長…ショット……貴様、ここがお前の死に場所だ」
そう怒鳴った男は踏み込みを入れ俺に突っ込んできた
剣の先が胸に当った
「………やったか?」
がうまく円盤が跳ね返し俺は吹っ飛ばされるだけですんだ
俺は立上がり振り向かず走り出した・

どれくらい俺は逃げたのだろうか
「射手座弓隊前へ」
「射て、射て、奴を殺すのだ」
気迫の籠った声とともに矢が放たれる
俺の後ろで声が聞こえる
「弓隊 打ち方やめ 飛び込んだぞ?いや……落ちたのかな……どっちにしろ死はまむがれんな……おぼれるだけだ、引き上げろ」
俺は城壁の堀に身をしずめた 
運命……いや宿命と言う名の新たな局面に身をゆだねるために………













  スラム街

 目が覚め起きる時、俺は体中が疲労で重たく痛かった               
目を開けぼうっとしているとドアが開いた
「………」
虚ろな視界……首を向けた先
女だ……豊かな黒い髪……
「気がついた……かい」
「ここは」
「ラクロスの下水が集まりヘドロとなる所……つまりスラム街さ」
「……」
「…しかし、あんた……運がいい、私はね同じ仕事を……同業者には情が厚いもんでね……あんたどっかのならず者に溝にほうり込まれた……そうだろう」
「………」
「まあよくあることさ……ナイフ売りは特に、しかし木の円盤を首にぶら下げといたおかげで上手く浮いたもんだねえ……あんた……悪運の強い男だねぇ……」

「そうかヤヌスに感謝しなくちゃな」
「ヤヌス?」
「………おれの相棒だった……」
「いい男だったかい……
     ヤヌスという男は……」

「ああ………」
ようやく俺の体の感覚が鋭くなった
部屋の空気の重さや嗅いだことのないにおい、町で嗅いだことのある女の発する香りなどが視界と合わさり
俺の頭から不確定という物がなくなり整理された
始めて見るフレイアの姿はなかなか……豊かで濃いまるで妖艶な女神が持つ黒髪が先か、その豊満な体(特に胸)が先か……どっちにしろ男を誘惑する魅力に溢れていた
「…ところで君は」
「私かい……フレイア=キャロル=グスターフ……」
「……カルル?……いや……キャロルか……グスターフ…いい名だ」
「そう……」
「俺の名はエルンスト………ところで、俺の商売道具は……まさか盗ったりしていないだろうな」
フレイアは首を軽く傾けるとゆっくり指を伸ばす
テーブルを指差した上には円盤とナイフが置いてある
「……していないよ……あんた変わった男だね……大量の国家規制品・ナイフを売るなんて……どこから仕入れたんだい……まさか兵隊から盗ったていうのかい」
「いや……偽物だ……俺の癖さ」
「癖?それにしちゃあ巧く偽造てるじゃないか」 
「……さすがに詳しいな」
「仕事だからね……さてと、仕事」
「いいのか俺を一人残して」
「どうせ盗られるもんはないからね
そうでもしなきゃ、この町じゃ暮らしていけないよ」
フレイアが扉にあゆみよる
キィィィィ
ガタイのいい男が扉を開け中にはいる
「あんたはイン=グラム」
「………」
フレイアの……すべてが、揺れた
「ちょ……ちょっと放してよ」
俺は異様な空気を察し、近くにあったナイフを投げた
ひゅ、と音をたて
ナイフは男の開けたドアの近くの壁、そう……やつの目の前に刺さった
「貴様 手を放せ」
「……!」
男は幽霊を見た司教の様に血相を変えて逃げ出した……

男が完全に去ったのを確認すると
フレイアがベットで半身をあげている俺の方を向いた
「……あんた元軍人だったでしょう」
「……うむ」
つかつかと俺の近くに歩み寄る
「……あたしの死んだ親父はね」俺の寝ているベットに腰を下ろし俺の顎を掴むと、目をじっと見た……
「軍人だったのよ」
「………そうか」
「あんたの今どなった口調……私を叱る親父を思い出してねえ」
フレイアは立ち上がると後ろを向きながら
「気に入った……ここに居ていいよ」
そういい残すとフレイアは去っていった
「………」
「よかったですね、フレイアさんに気にいってもらえて」
横顔に当る高音……声
背の低い女の子がたってこちらを向き笑っている
「?……君は何時からここにいたの」
「さっきから、ここにいましたよ」
「誰?」
「あっ 私ですか、フレイアさんの友達です、えっと……ボルバって名前です」
「ふーん……まあ、勝手に自分の事どうこう言われるのは好きじゃないんだけど……ね」「私もそうです……ふふふ」
俺とボルバ二人はあの女主人の顔を思い出しながら笑った。














1・来客

 その日、俺が朝食を作っていると、ボルバともう一人……金色の長い髪を持った女を連れてやってきた
「こんちわ あっエルハントさん、ここの生活になれましたか」
「ああ ところでその隣にいるのは?」
女の顔は髪に隠れ……光る目……そう、ふたつしかこちらからは見えない「0694“&)$=”≦]]}」
「?……何を言っているのか分からないのだが……」
「あ……えーとキャリーって名前ですって自己紹介してます……私の友達です」
「ふーん……ところで何で君この人の言う事が分かるんだい」
「さあ 子供のときこれを聞いて育ったのかもしれませんね……」
「?  君は何処から……」
「……分かりません けど……まあいいじゃないですか
私はこの人の言う事が分かるそれで……この街では過去は暗黒街の名のとおり闇の中に流されていくのがさだめですもの」
そう、この街は下水の終着点だけあってすべてを飲み込み歪ませている
俺は、ふと、この街が巨大にいや……大きく膨らみつつあるのではないかと……
錯覚した事を思い出す……
それはこの街が食らう尽くすさまが……
まるで、劇場の奈落と言う名の何処までも続く、不安に似ていたからだ
この街に住む者が見る妄想の典型……膨んでいくその狂気……に似ていると……
その事に気付いた俺は、この街の住民になりつつある自分を知った
「……そうだな……この町で君の過去を聞いた
俺が野暮だったよ………」
「誰だって……自分の過去は暴かれたくない……です」
「そうだな」
そっちの方が都合がいいと心の中のもう一人の俺が告げた
「ところで今日はなんだ」
「えっと、これですエルンストさんに頼まれてた物もってきました」
とナイフを俺に渡した……
「……ありがとう」
俺は今日この町に来て初めて笑った

ボルバからナイフを受け取り幾日たったか分からない
俺はトンデモない勘違いをしていた
ここは狂気の徘徊する様な所ではなかった
そう感じたのは、軍という異常な空間でのの生活が長かった為……
秩序と規則が当たり前の生活を送っていた、
のになれ過ぎていた為だった……
今思うと
昔の俺は、自分を確実に壊している事にまっったく気付いていなかった
だが……どうだろう、フレイア達と生活を送りながらある日、福音のごとき言葉を聞いた
「エルンストさん始めてこの町に来た時より
落ち着いているみたい かわいそうここよりひどい所にいたのね」
その言葉をボルバから聞いた時、安堵という
ものを、感じた
嬉しかった、俺を心配してくれる人間など軍にはいなかった……皆、敵を殺せ、任務を実行しろ 歯向かうな それが正義だと馬鹿の一つ覚えの様にまくし立てる、あの日々を今でも悪夢の一つにそれがありうなされる
だが、それを心配してくれる彼女達がいる
 あのとき、溺死していたらこれに巡り合う事は永遠に……本当に永遠になかっただろう 
もう一つ俺が嬉しかった事がある
そうフレイアとの距離が一歩、一歩、近付いている事
もうすぐ、本当の安堵という物に巡り合う事ができる
ゆっくり太陽に手を伸ばし暖かいぬくもりを感じる様に様に、俺は心を取り戻している

俺は路上に座り込みナイフを広げいつものように客を待っていた。
そこに一人の男が現れた
ナイフを渡すと一言も言わずに立ち去った

俺は物憂げにナイフを見つめた
ナイフにはこう書いてあった
『本国へ帰還せよ』 
俺はベットに横になり考えた
ここまで……俺を探し出す程、スパイ活動が活発かされたか……ラクロスも長いことないな……

隣で寝ている……フレイアが、俺の方を向く「ねえ……どうしたの……悩みごと…?」
俺は、やはり 俺は君を守らなくてはいけない……だから……ここにいようそんな事を考えながら、俺は夢の中に

そこにはキャリーがいた……
『私は実はあなた方の言う…悪魔なのです……この世界の愚かな部分を消す為にこの世界にきました……これから 魔界に帰ります……あなたがた、特にボルバさんに出会えて良かった……このスラムという街は残しておきます最後に……貴方の願いを聞きましょう』

次の日……ボルバが泣いていた、
「キャリーがいなくなっちゃたよ」
なだめるフレイア
「夢の中で、帰るとかいってるから……帰らないでって言ったのに『それは駄目です………貴方の本当に望んでいる事私にはわかりますそれは……みんなが幸せになる事』とか言って」
「あ……それ私も見た」
「何を願ったんだ……」
「ん……あんたにお礼をされる様な事はしてないよ、いいっていった」
「お前らしいな……」 
「あんたは何を」

俺か……
俺はここにいる事に決めた
時間は闇にすべてを包み消していく

思えば……あの時のキャリーの望みをかなえると言うのは我々に対する最後のテストだったかもしれない
そうだったら、ずいぶん見当違いの事言われて焦っただろうな……フフフ

しかし……夢は、夢だ

俺は平凡なスラムに住むスパイとして、この街にいる……いつでも会いに来てくれ

いつまでもここに……いるから……
そういつまでも……

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