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2015年10月 5日 (月)

ホラー

友人が遊びに来たのは
電信柱から垂れたケーブルが凍り付いて
停電の類いや電話が使用不能になりはしないかなどと
いらぬ詮索をうながす程の寂しい北風が吹きあれた
2月の頃であった 
ひさかたぶりに見せた彼の姿は変わりなく
やや変わっている点と言えば 小さな子犬がすんなりと入る
ぐらいの大きな鞄大事そうに抱えていた事
ぐらいで 私の顔を一瞥すると口許に笑みを浮かべ
「久し振りだな 」
とやけに元気のいい声を聞かせてくれた

ややあってからコートを脱いで
鞄をリビングのテーブルに置くと 
彼は私のついだコーヒーを啜りながら
私にこう尋ねてきた
「最後に出会ったのは何時だったかな
ゆっくりと思いを馳せるに相応しい秋の午後か
それとも 賑やかで騒がしい大気が作り出した夏の頃か?」
じっと目を据えて 私を眼球に映す 
……なんだか 彼の中に閉じ込められそうで嫌な気分
「いや 随分昔の事じゃあないか そんな事は覚えていないな
それより 外の車庫を見たかい
新車を買ったんだ 高い買い物だったがね……」
と私が ありきたりなよもや話に移そうとすると
彼は ちょっとばかり気を悪くした様に だんまりとしてしまった
……あいずちも打ってくれない
三十分もたつと

なんだか疲れてしまったから

気分転換にコーヒーを一口すするとそれまで黙っていた
友人がふと神妙そうな口振りで私に言葉を投げてきた
「……お前はこれがなんだか 分かるかい」
とさっきまで私が気にかかっていた 
鞄を手の内に招きよせて
ジッパーを横に引いて開けると
中に手を突っ込んで 何かを取り出した
「げっ!」
恨めしそうに判開きで私の方を見るのは
それは生首であった
胸に手をおろしていたずらに鼓動をうつ心臓を
たしかめていた私のほうを向いて 
私の方をあざ笑うは確かに人間の生首であった
友人は笑いながらこう言った
「よく出来ているだろ 模造品なんだ」
なんだ驚かす為にこんな物を 
……ちょっとばかり腹が立ってきた
「いやね 実は 劇をすることになったんだよ
イズミヤクモの怪談をしってるかい」
泉八雲の名前ならば知っている
本名『ラディオカ・ハーン』
たしか北欧の小説家で
日本に数年住んだ後 怪談を著したっけ
ふとんや鬼の話が有名だったな
「この生首は最後の締めの部分 
西瓜が生首に変わるところで使うんだ 
それにしてもよく出来ているだろう」
と友人が私にその生首を渡してくれた
ずっしりとした感触が手の上に乗り込んできたので
ての上でこねくり回す様に 調べてみた
良く見ればペンキとプラスチックの合成物だが
……確かによく出来ている
それにしても舞台の小道具の類いを生業にしていたなんて
驚きだ こいつ確か 演芸に興味があったかな
「そこでだ 君に一つお願いがあるんだが」
と友人が言う 
「実はだな この生首を持ってから変な夢を見るんだ
俺 何だか気味が悪くって」
……というか こんな物見せられた日にゃあ どんな不気味な夢見たっておかくしない
「こいつを預かってくれないか ここんとこいい夢を見てねえんだよ
 友達の間で奇妙な現象とか信じてねえと自称するお前だから頼むんだ」
そういえば そんな事を言った覚えが無い事も無い 
確か 20世紀も終わり頃だった
 当時出版会社に勤務していた俺は 
流行っていた オカルトを笑い飛ばす類いの本の出版の企画で
サブカル・ロックミュージシャンにインタビューした覚えがある
であんまりにもおもしろかったから その内容を話のネタに使って
聞いていた奴等が目を丸くするのを笑って見てたっけ
面白かったもの無理はない 何しろ俺達の世代はテレビやら 雑誌やらで
終末論だか 陰謀説やらが大流行した年代だったからだ
「たしかに そう言った手前 断れないな 
編集者後記に乗せるねたもできたしな
最近 生首と寝ましたか なかなか味があっていいな」
などと少し感慨にふけっていると
「……お前少し変わっているな 
まあ いいや たのんだぞ」
と生首を押しつけて闇に消えていった

「これがねえ 」
確かによく出来てはいる そう……目玉の辺りなんかは
四ッ谷怪談のといたがえしに出てくる 
おいわさんそっくりだ ラッカー臭さがやや幻想から引き摺り下ろしはするが
今にも喋りそうな口許はいつぞや雑誌で特集をした
随分昔のお倉入りになったB級怪奇映画の呪いの雛人形 の様な妙な恐怖感がある
………手製のラム・バアモンを飲むに飽きて 
そろそろ寝るとするか と独り言をいいながら
出て行った後 一人 不吉な笑みを浮かべそうな生首をテーブルにおいて
リビングを去った

「まあいいかあしたは休日だし
一日そこらの不眠症で編集者が勤まるかっ……てね」
とまあ又独り言というか寝言を言いながら布団に入った

うとうとする
夢と現実の境界線がゆっくりと混じり合って 
心地好い壮快な感覚と軽いだるさが体を覆った
………つーんとなくなてくいし……

血の滝は私の眼下を揺らぎ 私は一人何かがおぶさったかのように
一人 船の上で座禅を組む様にしながら
流れに逆らう事もせず 
流れる濁流の生む 勢いに飲まれ
慣性に負けて 左右にぶら-んぶら-んと揺れる頭

と流れる滝の対比するかの様な光景が不思議と懐かしい思いを起こさせた

岩肌は 黄色く 見上げると小高い丘に見える
ずぅぅぅーん ずぅぅぅーんと聞こえ去って消えていく血の流れ
まるで魔術にでもかかったかの動かない体だったが
やけに鮮かで 例えるならば目も潰れかねない 若葉 春の新緑の如く鮮血だ
何も彼もが美しく いまにでもカメラいやスケッチブックでいい
色エンピツでも構わない ただ書き残したいと衝動が起こった
赤と黄色の混濁する様を見ながら
私はなぜこんな小船に乗っているのであろうか
それも流れ落ちる滝の前に立って
……なんだか 頭が痛くなった
とにかく 俺がこの滝から落ちるのは間違いない
痛いかな なんて考えている
むしろザブ ザブとここから出て小船だけごーっと落ちていくのが見たい

滝から落ちた後は夢らしく痛みも感覚も凍結していた
体から流れ落ちた血の滴は一つの小さな水の流れとなって滝に戻っていく
私は上体を起こして そらを見上げた
滝の流れはまだ止まらない 少しだけ自由が利く様になって
私は嬉しくなった
血のわきでる滝で踊る様におよぐのは至極楽しい
素直で満たされた 感じがした……



朝を起きると やけに清々しい感じがした
不思議と 体が軽く 目の視界もいい
そうか そうだったのか
一層 不気味になって こちらを笑う生首を見ながら私は思った
どこにでも いかなる場所にも どんな国にも
こういった ドロドロして おぞましく いかがわしい物は
ある
だが世間からはなくなりはしない
なぜか?
それは 自分の中にある恐怖や滅亡 陰鬱な感じなどの感性を
そういった物を吸い上げて 一つの集合体を造って 閉じ込めてくれるからなのだ
泥くさい法螺話に閉じ込めて世界は造られている
だからホラー小説はなくならない 
具体的にいえばその存在自体がその人間の感性をよりしろにして
吸い込ませ 新たな活力を与える為だ
ホラー小説はただ閉じるだけでいい 
人間の影の部分の掃き溜めだから
存在するだけで 人生の負を吸い取っている
宗教みたいな物だからだ
ブラムストーカーが脚本を片手に劇を監督する姿が浮かんだ
ラブクラフトの庭で陰鬱そうな白黒写真が浮かんだ
フランケンシュタインの銀幕が頭を過ぎった
ドラキュラの美女を片手にマントを翻す姿が
四ッ谷怪談のお岩の姿
黄金の脳を持つ男 毒園の美女 アッシャー家の崩壊
ステーブィキング ジェイソン ブギーマン フレディ
江戸川乱歩 ポ- 水木しげる 諸星大次郎
そして…… 泉八雲

新たな認識を得て友人に感謝をしつつ そう生首に囁いた時 

呪縛の込められた 言葉を 生首が吐いた様な気がした………

後日 とある研究所にて
「和田さん 何を読んでいるのですか」
「いやなに 最近話題になった脳内麻薬について読んでいるのだがねえ
いや 面白い この記事なんか
なるほど と感心したよ
 人間の恐怖というのはノルアドレナリンの働きによって起こるのか
これで謎が解けたよ」
「なにがですか」
「ジエットコースターは何故受けるのかと言う事だ……
アドレナリン つまり快楽を与えるの成分はこのノルアドレナリンと
対をなして作り出されるのだ 」
「それで?」
「人間の脳には一定のアベレージが存在する 
この二つの成分が相互関係によって 脳の均一を保っているのだ」
「つまり快楽と恐怖は紙一重なのですね」
「そうだ だから人は恐怖に惹かれるのだ 
………ホラーと銘打った この小説に手を伸ばす 読者の様に」


SFを読みはじめたのはいつ頃だろうか?
確か中学生の時だったと思う
 ドラゴンマガジンの黒田さんのエッセイを読んで
フレドリック・ブラウンの二作品が凄いというので読んでみたのが最初だった
発狂した宇宙と火星人ゴーホーム
特に発狂した宇宙はとてつもなく面白かった
後味といい 作品の舞台といい いやその世界観にあこがれた 
(ポケモンのマルマインにメッキーと付けたのを覚えている)
火星人ゴーホームも粒子伝導砲をぶっぱなすくだりはしびれたし
様々な観点 世界中がこの奇妙な物体に揺さぶられる様を
淡々と語りリアルで また火星人の知的なトリックスターぶりにあいた口が塞がらなかったプラックステック(ドタバタ)の最初の作品でもあった
その後 「都市」を読んで鬼畜知能(笑)について知った
(テクノバンドの宇宙犬を聞いて読んでみたくなった覚えが……恥ずかしい思い出)
破滅的な結末だったが 小道具の面白さ発想の飛躍はカタルシスを覚えた
ベルヌの『地底探検』でルーン文字が好きになって 北欧神話に興味をもった
タニス・リーもここら辺で読んだゲド戦記も指輪物語もだ
 フリーゾーン大混戦 を読んでタキオンのなんたるかを知って 
コードウイナースミスを読んでだんだん飽きてきたところで
 ハイトラインの「青を心に123」を読んで爽やかな感動してその勢いで
マイケルクライントンの「アンドロメダ」を真メガテン2つながりで読んで
やっぱり感動した(ラストがやや弱かったのがものすごーく残念だったけど
ちなみに クライントンはジュラシックパークとかターミナルマンとかの
映画とタイアップが多いので知っている読者もおおいと思う
僕の一押しは『北人伝説』ついでに 『疾風魔法対戦』と読むとなおいいし
北欧神話の本を一冊読むとなおおいしくいただけます) 
ラッカーに出会って 時空の支配者を読んで こいつはスゲー
隙がなく語られる言葉が一つ一つが自分の感性に訴えかけて来た
むしろ悟った 自分がもし宇宙を造られた原因はなにかと聞かれたらかならず
「じ……た」と答えるいや答えてやってやると叫び(はしなかたっが)
誓った とにかくラッカーの作品ではこれが一押し
例の2作品を読んでやっぱりリングってSFだったのねとひとり納得して
短編を嘗める様に読んで 納得 こいつは本物だと
アジモフ『我はロボット』を読んで すげえ なんてえ結末を付けるんだ
この大老はほんまもんの天才じゃあと唸った
(ただこんな絶対的な回路は造れるかどうかという違和感はあったことは確かだけど
小説の面白さに引き込まれて そんな事どうでもよくなってしまった)
フィリップKデックを読んで 
『ながれよ我が涙と警官』は言ったで何か引っ掛かる物があった
(デックは最近「トータルリコール」や「6ディズ」
など映画化されたりブロードランナーの続編がかかれたりと再評価が進んでいる作家 
個人的には凄く嬉しい 『流れよ……』が映画化されたらもっと嬉しい
ただいろんな差別的な表現とかあったりして 基本的にセックスとバイオレンスだから
忠実にとはいかない所が悲しいね
でもまあ『アンドロイド』も『ブロードランナー』もぜんぜん別の作品だったしね
それで結構面白かったので……まあなんですか 監督の腕かな……
あとビジュアル シド・ミードはぜひ起用すべきだ)
デックの作品ではこれが一番好きだ
小松右京はなんとかの影とか戦争はなかったが面白かった様な気がする
筒井は作品が多いので何を一番に上げたらいいかわからないけど
短編集ではシュールレアリズムとメタ作品を集めた『エロチック街道』ブラックジョーク100%『わらうな』何処から読んでも面白い日本版ピアズ『乱丁文学大辞典』『農協月に行く』
プライベートライアンより感情移入しやすい『東海道戦争』題材が面白い『足藁将軍』『ミラーマンの時間』『北京飯店』シュールメタでは『傷ついたのは誰』『二人のインド人』はオチが良かったな
 長い物では読み終わった後スッキリする『俗物図鑑』
気持ち悪いけど病み付きになる(くさやみたいな) 『家族場面』 
しんみりとしてノスタルジックをあじわうなら『我がよきウルフ』破滅を描かせたら最高『霊長類南へ』『馬頭星雲』『日本列島七局渉り』文体が素晴らしい『夢の木坂分岐点』文学がなんたるかを知る『只野教授』 こうしてみると 筒井御仁の造らなかった
作品のジャンルはスペ-スオペラぐらいで(ややメタフィクションが多いけど)
随分懐が広い作家なんだなと改めて認識した
この人は読者やマニアや評論家の圧力で作家・権威主義にならなかったら(脱筆宣言なんて奢ってるとしか思えないけど本人は結構おちゃめなので許してしまう自分が……)
個人的にはもっと素直にファンだっていえるのにと痛感

僕の好きな作家

僕の好きな作家を上げろと言われたら
だれだ?……ラッカー アジモフ ブラウン 筒井 スミス 
最近はアスピリンが上位に入っている
なぜときかれたら 何故 彼の小説に惹かれるのかと問われたら
こう 言うに違いない
アスピリンの小説は登場人物がユニークだからだ
SFとファンタジーはSFは口やかましくしているやつ
やたら打算が多いやつ ひねくれ者 ボンボン
少々潔癖症ぎみな合理精神 自然主義 ネーミングが変にメタしててポストモダン
ファンタジーは田舎者やらでぶやらコス好き 賭け事ずき
 駆け引き上手 挫折したエリート 女性に免疫無し 
キャラクターネームに駄洒落を付ける
となんだかSFファンやファンタジーファンの
生き写しみたいなかんじがする
ファンタジーファンがホラーマニアに近いってえのも
例のバンパイアがそれを表しているようで……
こいつはどうしたことか………
あっ そうか 仕事でよくかかわる人をモデルにしてるのか……
だからにてるんだ
それとも 読者が感情移入しやすいようにのマーケティングの賜物か?
(余談だけど アスピリンがコンベンションやSF大会に潜り込んで
読者の様子を伺うのって……なんだかいいよね)
海の向こうとこっちのファンを繋ぐかけはしみたいな物
自分と共通点を見つける(……ってこれあったらすげ-重症ですよ
人生踏み外してます)のに最適な作家だ




                  


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